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熊田 高之; 野田 知克*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎
Journal of Chemical Physics, 111(24), p.10974 - 10978, 1999/12
被引用回数:10 パーセンタイル:31.1(Chemistry, Physical)固体HD及びD中におけるH及びD原子の捕捉サイトを電子スピンエコー法を用いて調べた。解析の結果、すべてのH及びD原子は置換型サイトに捕捉されること、またH原子周囲のHD及びD分子は0.15程度外側に押し出されていることを見いだした。置換型サイトに捕捉されるのは水素原子-分子間の相互作用と水素分子間の相互作用がほぼ等しく、最初に挿入型サイトに捕捉された水素原子もゼロ点運動によって容易に平衡距離に緩和するためと考えられる。H原子の周囲のHD及びD分子が押し出されるのはそのゼロ点運動の振幅がH原子の場合特に大きいためであると考えられる。これらの捕捉サイトに関する実験結果は、固体水素中におけるトンネル反応D+DH→D+Hにおいて実験的に観察した気相論で説明できない反応速度定数の温度依存性が、固体HD中におけるH原子周囲ひずみによって引き起こされている可能性によることを示唆している。
熊田 高之; 北川 尚紀*; 野田 知克*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Chemical Physics Letters, 288(5-6), p.755 - 759, 1998/00
被引用回数:27 パーセンタイル:64.55(Chemistry, Physical)固体水素中におけるH原子の捕捉の研究は、固体水素の量子固体としての物性を研究する上のみならず、固相中における原子引き抜きトンネル反応:H+HH+Hを理解する上でも大変興味深い。今回、我々は新たにENDOR(電子、核二重共鳴)法を用い、線照射した4.2K固体水素中に生成したH原子の捕捉状態を調べた。ENDORスペクトルの解析結果から、H原子は固体水素中の置換型サイトのみに存在すること、また、その最近接のオルソ水素分子はパラ水素に変換されることが確かめられた。前者はH-H間の分子間力がH-H間のものと同等であること、後者は近接のオルソ水素がH原子の不対電子により禁制がやぶられパラ水素に変換されたことを示したものである。ENDOR法を用いることでこのように固体水素中の微視的情報が直接的に得られた。
駒口 健治*; 熊田 高之; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Chemical Physics Letters, 268(5-6), p.493 - 497, 1997/00
被引用回数:15 パーセンタイル:47.5(Chemistry, Physical)低温固体アルゴンマトリックス中で、トンネル反応(HD+DH+D)に直接関与する水素原子-水素分子対をESR観測することに成功した。20Kにおける水素原子のESRスペクトルとは、分離幅約0.06mTの等方的な9本線からなる極超微細構造が現れた。このスペクトル線形は、H原子-水素分子対(H-HDまたはH-D)で説明可能である。この極超微細構造から、トンネル反応が起こるときの水素原子-水素分子間距離として、0.173nmが評価できた。